Entry


Comment


Archives


Category


Search


Link

流木の鳥


谷中にてお店を始める前は、鎌倉に4年程住んでいました。
若宮大路から長谷へ抜ける由比ケ浜通り沿いにある小さな雑居ビルの3階でした。
由比ケ浜までは歩いて7分程と近かったこともあり、たまにはロングボードを楽しんだりしました。
家からウエットスーツ、ビーサンのままロングボードを抱えて行けるのが、便利でしたし気持ちよかったです。

陶器と流木のウインドチャイム、瓢箪スピーカー、そして針原修さんの「流木の鳥」。
classicoを象徴するもの、それは僕の鎌倉時代の生活を象徴していたものではないかと思っています。

「海の近くにある様なお店ですね」とよく言われますが、そんな所から感じられるのでしょう。

ウインドチャイムと瓢箪スピーカーは、横浜山下町に住んでいた頃に友人からいただいた贈り物でした。
山下町時代も部屋に飾ってはいましたが、鎌倉の住まいの方がしっくり馴染んでいました。


2002年、初めて青山のダドリアデに行った時に、針原修さんの「流木の鳥」と出会いました。
ヨーロッパの一流デザイナーの家具や作品と共にディスプレイされていましたが、僕は「流木の鳥」に魅了されました。
時間を忘れて夢中で見ていたと思います。その時に購入せずに帰った事を、後になって後悔しました。

上の写真の「流木の鳥」は2002年の5月にダドリアデにて購入しました。

当時は山下町から鎌倉に引っ越して数ヶ月の頃、海辺の生活に愛着を感じ始めていたので、
余計にこの「流木の鳥」に思い入れを感じたのだと思います。

疲れて帰った時、落ち込んだ時など、ふとこの「流木の鳥」を眺めると、気持ちが癒され、励まされました。
鎌倉の暮らしの中では一番愛着を感じていましたし、大切にしていました。

そして、いつか自分でお店を開く時、針原修さんの「流木の鳥」を扱いたいという気持ちが芽生え、次第に強くなっていきました。

1、2年程経ったある日、またダドリアデに行きました。
その時には数点しか飾られていなく、しかも非売品となっていました。
もう商品として扱わなくなってしまったという事でした。とても残念な思いで帰りました。
(今現在はダドリアデでも「流木の鳥」を展開しております)
その後、ダドリアデの方に針原さんの連絡先を教えていただき、いつかお店を開く時のために温めておりました。


2006年、いよいよ自分でお店を開く事になりました。
内装工事もほぼ終わりひと息ついた頃に、その温めていた電話番号のメモを握りしめ、電話してみましたが、時既に遅し。
事務所は移転しており、連絡がつかなくなっていました。

インターネットで調べても役立つ情報を得る事が出来ず、オープンの日を迎えました。
お店には何らかの出会いの機会を期待して、だたひとつの「流木の鳥」を飾りました。

オープンから1か月程たった頃、針原さんの個展が行われる事を知りました。
個展にうかがった際に「流木の鳥」をひとつ購入し、針原さんへのお手紙を託して帰りました。

数日たったある日、針原さんからファックスが届きました。
「谷中界隈は子供の頃より慣れ親しんだ町であり、地元地域で作品を紹介していただけるのは嬉しいです。お店にうかがいます。」
という内容のファックスでした。とても嬉しく、そわそわワクワクして待ちました。
田端在住の針原さんは、自転車でご来店になりました。classicoを見て気に入っていただき、展開が始まりました。


針原修さんは、グラフィックデザイナーとしての仕事に従事しながら、
20年以上に渡って「流木の鳥」の製作に情熱を注いでいます。

針原修デザイン室には沢山の流木がストックしてあります。
台風の後など海岸で拾い集めた流木を丁寧に洗い、時間をかけて乾燥させます。
そして、流木それぞれの自然な形、素材感や色を活かし、創造しながら命を吹き込んでいきます。

これまでclassicoで沢山の「流木の鳥」を扱ってきましたが、ひとつひとつの作品に個性を感じます。
もともと流木が持つ個性に針原さんから吹き込まれた命が宿り、それぞれ「流木の鳥」としての個性になります。

「流木の鳥」は、何に使う道具?というわけではないですが、生活を楽しむ道具としてのクラフトであると思います。


P.S.
針原修さんが、発売中の「ku:nel  Vol.33」 p26~p29「小さな庭の大きな発見」というテーマで、紹介されています。
是非こちらもご覧ください。



| 19:00 |
FORM_Story of design


こんにちは。この週末は雨が降ったりやんだり、不安定な天候でしたね。
出掛けずに、北京オリンピック観戦を楽しんだ方も多いのではないでしょうか。


浅草在住のフリーランスライター加藤さんのブログにて、「クラシコとエフスタイルのこと」というタイトルで、
classicoとclassico-life.comについてご紹介いただきました。是非ご覧ください。
FORM_Story of design → form-design.jugem.jp


加藤さんは、classicoがオープンして間もなくご来店になり、その後も度々ご来店いただく様になりました。
音楽の話や趣味の話など時間を忘れて語りあいました。

僕と加藤さんはよく似ていると言われます。兄弟に間違われるくらいです。
加藤さんは年齢の割にはとても若いので、僕の方がお兄さんに見えるかもしれません。

加藤さんにはこれまでたいへんお世話になりました。
加藤さんのおかげで沢山の方々と出会いました。沢山の刺激や勇気もいただきました。

以前ウエブマガジンOPENERSでもclassicoをご紹介いただきました。
→ openers.jp/interior_exterior/shopinfo/classico.html

あたたかくもきびしく、心のこもった文章にてご紹介いただいています。


「地域の暮らしに根ざした日用品のお店としてこれからもどんどん良いお店になっていくことを期待します。
あたりまえに、まっとうに、前向きに。」

FORM_Story of designに寄せて送ったCommentへのお応えとして、こんな素敵なメッセージをいただきました。
大切に心に留めて、日々営んでいこうと思います。


P.S.
「クラシコとエフスタイルのこと」文中にて一緒にご紹介いただいているエフスタイルの本、
「エフスタイルの仕事」(アノニマスタジオ発行)は、近くのshop nakamuraにて販売しています。
| 23:52 |
Straw Basket


Cyperus(シペラス)は、北中アフリカなど熱帯、亜熱帯地域原産の常緑性多年草、湿地性の水辺の植物です。10年程前からほぼ欠かさずに育てている僕の一番好きな植物です。毎年春になると株分けして植え替え、繁殖させていました。

太陽と水を好み、生命力と繁殖力が強く、すらっと伸びた茎の先に放射状の葉を広げます。
classicoの入口前に鉢を並べて、陽に当てながら水をあげていると、道行く人々に「涼しげですね。」と声を掛けられたりします。



今年の春、あるひと株の放射状の葉の真ん中から、小さいシペラスが伸びているのに気付きました。シペラスの赤ちゃんという感じでした。長年育てていてもこんな事は初めてでしたし、大切に育てなくてはと思いました。

赤ちゃんの部分は大切にしたまま、親の付け根の部分から苅り採り、茎と放射状の葉先をカットして、残った葉の中心部分を用土で包む様にして植え込みました。今では、株を増やしながらすくすくと育っています。一番上の写真、左側のシペラスになります。

古くなって葉先が茶色くなってしまった株は、いつも付け根から苅って捨てていましたが、捨てるのをやめて、水を溜めた容器の中に葉の部分だけを浸して様子を見る事にしました。しばらくすると、幾つかの葉の真ん中からシペラスの新芽が生えて来ました。
やがて放射状に葉先を広げて赤ちゃんシペラスになったのです。同じ様に大切に植え込み、すくすくと成長しています。
一番上の写真、真ん中のシペラスになります。

こうして、古くなったシペラスも活かして繁殖できる事を学びました。下の写真の様に水に浸して成長させています。



最近、ケニアのストローバスケットが入荷しました。一番上の写真のバスケットです。
ストローというと通常麦わらを表すのでしょうが、これはシペラスで出来ています。
シペラスの茎はストロー状になっているので、ストローバスケットと呼ばれるのでしょう。
茎を半分に割り、乾燥させたものを編んで作られます。

水と太陽の恵みだけで繁殖するシペラスは、光合成により二酸化炭素を取り入れ酸素を生み出します。
酸素を生み出したシペラスはやがて刈り取られ、ケニアの人々の手によりバスケットに編まれます。
作られる過程を考えると、こんなに安くていいのだろうかと思ってしまいます。

アメリカのテラパックス社は、環境問題に積極的に取り組むブランドとして活動し、アウトドアのバッグ類を作っています。
勿論その活動は素晴らしく、沢山の人々に評価され愛されています。classicoでも幾つかのバックを取扱いしています。

アフリカの人々の暮らしの中で培われてきたものは、自然のものを活かして作られてきました。
作る過程で環境を破壊するわけでもなく、そのもの自体が有害なゴミとなるものでもありません。
評価を受ける事はなく、評価を求めて作っているわけではないと思いますが、環境に配慮したクラフトなのです。

何気なく見過ごされてしまうストローバスケットですが、大切に伝え、見直していきたいクラフトのひとつです。

ケニア ストローバスケット ¥1.575
| 16:31 |
classico 3年目の夏


こんにちは。
もうすでに夏休み、お盆休みをお過ごしの方も多いかも知れません。
こちらclassicoはといえば3年目の夏を迎えております。
やっぱり今年も夏休みはありません。
いつもの様に火曜日だけお休みをいただきます。

最近、睡蓮鉢の中で金魚を育てています。
毎日数回餌をあげたり、水を入れ替えたりと仕事は増えるのですが、
餌をあげた時、嬉しそうにパクパク頬張る表情などを見ていると、心安らぎ癒されます。
金魚を飼う家庭が減って、夜店の金魚すくいも流行らなくなってきているそうですが、
東京谷中、失いたくない下町の夏の風物詩であると思います。
| 20:36 |
classico-life.com スタートします。


本日2008年8月8日、classicoは2周年を迎える事ができました。

2006年8月に台東区谷中の住宅街にてひっそりとオープンしたclassicoが、ここまで無事辿り着く事ができたのも、
通っていただいたお客様皆様、谷中界隈のショップの皆様、お取引先の方々、かつての先輩や同僚、家族や友人などなど、
皆様のお力添えのおかげであると思っております。

2周年を迎えるにあたりまして、ご多忙な中、私の無理なお願いを快く受け入れていただき、
classico-life.comを作成いただきましたグラフィックデザイナーの岸さんにも、心より感謝しております。ありがとうございました。

これからも感謝の気持ちを忘れずに日々classicoを続けてまいります。
何かと至らない点も多いと思いますが、温かくそして時には厳しく、見守り続けていただけたら幸いに思います。
今後共末永くよろしくお願いいたします
| 17:39 |
Page: 1/1